令和7年度 特定行政書士法定研修 考査 解答速報(※あくまで個人的な見解です。ご了承ください)問1~10まで

解答速報Vol.1(令和7年10月19日時点 1~10まで)

特定行政書士の考査を受けられた先生方、本日はおつかれさまでした!様々な先生方の答えや、自身でテキスト・文献・条文などを調査した中での解答速報となります。参考にしてみてください。後日、修正することがあるかもしれません。また、解説動画かⅩのスペースか、何らかの方法でお話したいと考えていますので、その時は事前にお知らせいたします!

いや、本当に侮れない試験だな。。というのが率直な感想です。色々と調べながら解答アップしていたら、そろそろ限界が近づいてきました。問1~問10まで本日はアップします👍

よろしくお願いいたします!


問1【行政手続法 申請に対する処分と届出】

正解 1(一つ)

ア 正しい

イ 誤り 検査済証の交付も、検査に基づいて適法に建築物を利用できる地位を与えるという意味で、処分に該当することになる(建築基準法7条)。

ウ 誤り 行政手続法2条7号。申請に該当するものを除く

エ 誤り 手続上の義務が履行された場合、行政庁の応答は予定されていない。

正しいものは1つ。


問2【行政手続法 適用除外】

正解 2 適用除外になるのは、国税通則法ではなく「国税又は地方税の犯則事件に関する法令…」(行政手続法3条1項6号)


問3【行政手続法 申請に対する処分】

正解 2(二つ)

ア 誤り 法令の定めが十分に具体的な場合であれば「法令の通り」といった形で審査基準を定めることも許容される。(法5条1項)

イ 正しい 標準処理期間の設定は努力義務であるが、設定した標準処理期間の公表は義務である。この公表方法についても、行政手続のオンライン化推進の各種閣議決定や申請者の利便を考えれば、申請の提出先機関のウェブサイトに掲載することが望ましいと考えられる。(行政手続法事務取扱ガイドライン)

ウ 誤り 「直ちに、申請により求められた許認可等を拒否しなければならい」ではない。申請の補正を求めるか又は許認可等を拒否する(法7条)
 
エ 正しい 行政手続法9条1項


問4【行政手続法 申請拒否処分-理由の提示-】

正解 3 法8条2項のとおり(この問題は確実に正解したいです!)


問5【行政手続法 不利益処分】

正解 1 法13条2項4号の例外規定。

問6【行政手続法 不利益処分の理由の提示 最判23.6.7】

正解 2

…名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、ア)行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。(抜粋)


問7【行政手続法 行政指導】

正解 3

1 正しい(法35条1項)

2 正しい(法32条2項)

3 誤り(法2条6号 行政指導の定義)…「一定の行政目的を実現するため特定または不特定の者」←不特定の者が誤り。特定の者に一定の作成又は不作為を求める指導、勧告、助言…である。

4 正しい(法34条)


問8【行政手続法 意見公募手続】

正解 3(法39条4項5号)意見公募手続の適用除外


問9【行政不服審査と行政事件訴訟との関係】

正解 3 (行政事件訴訟法8条2項)

審査請求前置主義の例外にあたる。行政庁の手続きの遅延により、裁判所への出訴が妨げられ、処分の相手方の救済が遅れることを防ぐ。


問10【行政不服審査法 審査請求をすべき行政庁】

正解 3

1 正しい 「法4条3号(主任の大臣に対して審査請求をすべき場合)」に該当することから正しい。

※文章は短いが難問。審査請求の原則(法4条4号) 当該処分庁等の最上級行政庁 対して行うので、仮に大臣に当てはめるとどうなるか?↓

 大臣の最上級行政庁である内閣ということになってしまうので、4条3号で「当該主任の大臣に対して審査請求をする」という規定を置いている。

2 正しい 法4条2号(例外規定)

3 誤り 法3条に不作為についての審査請求の規定がある。法3条後段には、「行政庁の不作為(かっこ書き略)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。

上記の規定より、不作為についての審査請求も4条(審査請求をすべき行政庁)に基づくことになる。

法4条において、審査請求の原則は(4条4号) 当該処分庁等の最上級行政庁とあることから、「不作為にかかる行政庁に上級行政庁があるか否かにかかわらず、原則として不作為庁に対してするものとされている。」の記載は誤りとなる。

4 正しい 法4条1号 個別規定に従う


この中では、問1の個数問題、問6の穴埋め問題、問10は難しい問題に分類されそうです。問1はイ、エの正誤判断が難しいですね。問6の穴埋めは、判例知識といえばそれまでなのですが、不利益処分をすることに対し、行政庁の横暴を防がなければいけないという抑制がポイントです。問10は、昨晩のⅩのスペースでも話題になったくらいなので、難しい問題でした。行政不服審査法4条の規定、特に4条4号(審査請求の原則)と3号の規定を理解しておくと正解に導くことができそうです。

本日はここまで!可能な限り頑張ります^^!ぜひ、Ⅹでコメントなどお待ちしています!

最後までお読みいただきありがとうございました!(五十嵐)

コメント

  1. 池田浩二 より:

    今回、特定行政書士を初受験しました。
    試験後家に帰り解答の確認をしてましたが、自分では判断がつかないものが多く、五十嵐先生の解答速報が唯一の確認材料となってます。お忙しい中、解答調査に時間を使っていただきありがとうございます。
    なるべく早く全ての解答が出揃うことを期待しております。
    また、試験を受けるにあたり数年度分の過去問をやりましたが、今回の試験は難易度が上がっているように感じました。個数問題も多いなという感覚も感じました。
    こういった内容について、最後に本試験についての五十嵐先生の総評もお願いいたします。

    • 五十嵐 健 五十嵐 健 より:

      池田先生
      コメントいただきありがとうございます!自身の活動においても大変励みになります!

      昨日は、特定行政書士考査の受験おつかれさまでした。同期の先生方でも同様に、自身で判断付かない問題も多く結構難易度が上がっているのではないかと思いました。

      今晩と明日で続報出せるよう頑張ります。また総評などと大変僭越ではありますが、自身の基準からの感想としてコメントしてみたいと思います。

      よろしくお願いいたします。

  2. 山田 より:

    五十嵐先生

    解答速報ありがとうございます。
    非常に参考になります。

    問3についてです。
    アは「法令の通り」といった形で審査基準を定めることは禁止されている。
    という肢でいうと、これは正解ではないのでしょうか。

    確かに例外的に、法令の定めが十分に具体的な場合であれば許容されるというのが判例でもあるようですが、しかし、この肢は審査基準を定めるに当たってと表現していて、定めるには許認可等の性質に照らして、できる限り具体的なものとしなければならないのだから「法令の通り」といった形で定めることは禁止されているといえると思うのですが違いますか?

    行政書士試験でもそうでしたが、あくまでも当該肢に沿って答えるべきであって、原則禁止、例外的に許容されている場合は、肢のとおり、禁止されているが正解となるのではないでしょうか?

    あくまでも私の意見です。

    • 五十嵐 健 五十嵐 健 より:

      山田先生

      はじめまして。
      コメントいただきありがとうございます。

      先生のご指摘の通り、ストレートに問に答えるとすると、確かにそのように解釈することができますね。

      問3 アの選択肢について、令和6年3月総務省行政管理局から出ている「行政手続法事務取扱ガイドライン」に基づき解答を導きました。

      以下、上記ガイドラインのP27-28から引用しました↓

      (3)審査基準の具体性
      審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない(行手法第5条第2項)。例えば、覊束性の強い処分にあっては、審査基準は一義的な判断が可能な程度までできる限り具体化されることが望ましいが、一方で行政庁に広範な裁量が認められている許認可等については、行手法が行政庁に個々の案件に応じた適切な判断を期待して裁量を与えた趣旨に照らして、審査基準が方針や考慮事項といったものになることも考えられる。
      また、①許認可の性質上、個々の申請について個別具体的な判断をせざるを得ないものである、②処分の先例がない、処分が稀である又は当面申請が見込まれない等の理由によって、法令の定め以上に具体的な基準を定めることが困難な場合には、審査基準を定めることを要しないと解されている。
      他方で、②の場合においては、申請案件の蓄積に伴い審査基準を定め、その内容をより具体的にしていくことが求められる。

      この②の部分から、広範な裁量がある場合、個々の申請案件により判断するしかない、つまり、基準を設けることができない。その場合は、審査基準を定めることを要しないと解されている。

      と説明していることから、法令の定めが審査基準になることも許容されるのではないか?これを根拠に、アの選択肢は誤りと判断しました。
      また、審査基準を定めるに当たっては、できる限り具体的なものとしなければならい。「できる限り」という余地を残していることからも、そうした審査基準を定めることも可能ではないか?と考えました。

      追加のご見解などございましたら、よろしくお願いいたします。突き詰めて考えると、大変勉強になりますね。
      その他の問につきまして、私自身の調査が追い付いていないため、また改めてご回答させていただきます。

      よろしくお願いいたします。

      五十嵐

  3. 山田 より:

    五十嵐先生

    ご丁寧にありがとうございます。
    特定行政書士研修テキスト及び行政書士のための行政法60~61ページも確認しましたが、どちらも正解に感じました。

    と申し上げるのも、確かに「法令に具体的に審査基準」が設けられていれば、「法令の定めの通り」というのも、そのとおりなのかもしれません。

    しかし、この肢は不親切だと私は思っております。
    「できる限り具体的に定めなければならず、”法令の定めの通り”という基準を設けることは禁止されている」とするならば、禁止されていると思うのです。

    何故なら、この肢では法令に具体的な審査基準が既に設定されているという前提条件が抜けており、法令は一般的抽象的にできていることが前提であることから、この肢を「できる限り具体的に定めなければならず」という文言と、「法令の定めの通りという基準を設けることは禁止されている」という文言の2つに切って考えるならば、前者○、後者○となりますね。

    しかし、日本語の文章とは「。」までが一文であることから、区切って2つにするのは不自然だと思うのです。
    「できる限り具体的に定めなければならず、法令の定めの通りという基準を設けることは禁止されている」という一文で考えるならば、許認可等の性質に照らして具体的なものとしなければならないのだから、「法令の定めのとおり」という基準では、具体的とは言えず禁止されているという解釈し得るわけですよね。

    行政書士試験では「原則」があって、「原則」の問いに対して「例外もあるから」って忖度して答えても不正解で没問にもしてもらえなかったことがございます。

    もしも、原則と例外を肢に含めるなら、前提条件として、「”法令に具体的な定めがあったとしても”法令の定めの通りという審査基準を設けることは禁止されている」、

    あるいは「できる限り具体的に定めなければならない。また、法令の定めの通りという基準を設けることは”常に、(いかなる場合でもとか)、(法令に具体的に基準が設けられていてもとか)”禁止されている」というように2つの文章に分離されていなければならないのではと思うのです。

    少なくても特定行政書士テキスト及び行政書士のための行政法を読んでみましたが、「法令の定めの通り」の審査基準を設けることができるのか、禁止されているのかの明確な記述がありませんでした。
    どちらなのか、答えが分からないのです。

    判例を確認したところ、最高裁判例は見つけることができませんでした。
    東京高等裁判所の平成13年6月14日判決によれば、法令の定めのとおりの審査基準を設けることが可能であると認めているようではあります。

    しかし、これはあくまでも高裁判決なので裁判例に過ぎず、個々の事案で異なることはいうまでもなく、統一解釈である最高裁判例でもないわけだから、このように考えると正否が良く分かりませんでした。
    設問そのものには判例のことが含まれていませんから考慮しなくて良いのかもしれません。

    以上から、両者の立場で検討してみましたが、私の中では答えが分かりませんでした。
    素直に禁止されていると解釈して良いのか、例外的にきちんと法令に具体的に最初から書いてあれば、それ以上は書きようがないのだから”法令の定めの通り”で良いでしょうって話なのか。
    少し、無理やり感があるように感じます。
    それこそ、設問及び肢において前提条件を書いておくなりしてくれないと、どこまで考慮すれば良いのか判断ができません。

  4. 竈門炭次郎 より:

    解答例アップありがとうございます。
    自己採点すると20点でした。話題になっている設問ははずしました。

    「できる限り具体的に定めなければならず、”法令の定めの通り”という基準を設けることは禁止されている」
    後半は前半の言い換えに過ぎないように感じましたのでこの選択肢は正しいとして解答しました。
    もしこの推論があっていれば21点になるところです。

    法令に既に具体的な基準が書かれているなら、わざわざ審査基準をもうける意味はなく、その場合審査基準を設けなくても違法ではないというのは分かるところです。この選択肢が法律に既に明瞭な基準がある場合を想定した場合を表現しているとは試験中に思い付かなかったところで、一般論として前段の言い換えたものと考えました。

    この選択肢が合否を分ける受験者も多かろうと考えられ、「正解」が気になるところです。

    他の29問については先生の解答例に勇気付けられたところです。アップありがとうございました。

    • 五十嵐 健 五十嵐 健 より:

      竈門炭次郎 先生

      お世話になっております。コメントいただきましてありがとうございました!

      他の先生からも、ご指摘をいただいている選択肢となりますね。
      「法令の通り」という定めは確かに疑義があるようにも思えてきます。

      ご指摘のとおり、具体的に基準があるから定める必要はない、ということと、法令の通り定める、とは内容が違いますので、正解と判断することも可能ですよね。

      現在のところ、どちらかということで見解を出しておりますが、また調査できる範囲で追いかけてみたいと思います。

      ありがとうございました!

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